以下の解説は当プラグインを使う人々向けに書かれた用語集です。この用語集の目的は当プラグインの解説書を読む方々が最低限、意味を把握できるようにするものです。その為、厳密に正しい意味の解説になっているとは限らず、むしろ「分かりやすい」ことを目指しています。知識の十二分にある方は納得できない点もあるかもしれませんが上記のような目的であることを御理解下さいますよう、お願いいたします。
なお、
とお考えになる場合には開発チームまで御連絡下さると有り難く思います。参考にさせて頂きます。
[独自] 当プラグイン制作にあたり、ほぼ独自に作成した用語。他では通じない可能性が高いので御注意下さい。
[専門] 当プラグインで独自に作った用語ではないものの、spam問題が深く論じられる時くらいしか出てこない「spamに関してかなり専門的」な用語。
[一般] 一般的なインターネット、コンピュータ用語。
「サーバー」(「サーバ」)[一般]
ISP(プロバイダ)やホスティング業者などが使っているコンピュータ。ホームページの設置、メールの送受信など、インターネットにおいて重要な役割を果たす。24時間体制で受けつけなければならないので、普通は常時電源が入ったまま。
あなたが自分に届いているメールを見る際、プロバイダー等に接続すると思うが、サーバと呼ばれるコンピュータは、あなたが自宅のコンピュータにメールデータを引き取ってくれるまで保管してくれる役割も果たしている。すなわちあなたのコンピュータにメールが来る前にメールが保管されている「メールボックス」のある所。
郵便で言えば自分の家の郵便受と最寄りの郵便局の合体みたいなものか。
「サーバ管理者」(「サーバー管理者」「ネットワーク管理者」)[一般]
サーバを管理する人。この解説書ではサーバ管理者とネットワーク管理者をほとんど同義に使っているが、「ネットワーク管理者」とはサーバもしくはその集まりがネットワークで結ばれている場合にそのネットワーク全体を管理する人のこと。ネットワークがインターネットと繋がっている場合には対外的な責任者となり、その連絡先は各国のNICに届けられている。ネットワークの責任者である「運用責任者」と各種技術絡みの設定等を行う「技術連絡担当者」がいる。前者は必ずしもコンピュータに詳しいとは限らないし、それが仕事とも限らないみたいなので、spam処置依頼はなるべく後者の人に送る。
スパムへの対処で苦情先が良く分からない場合、spam送信サーバのこの方達に苦情を送る。これらの人々は少なくともNICに登録されているので送信サーバの管理者が分からないことは、ほぼ無いからであり、またそういう苦情を受けるのがこの人々の責務であるからだ。
spam被害者にとって最悪なサーバ管理者とは言うまでもなくサーバを管理する人がスパマー自身の場合である。だがこの場合でも大概は上流のネット業者が存在し、苦情先は存在する。次に困るのはサーバ管理者がspam問題に知識のない人だが、これに関してはほとんどいなくなりつつある。
比較的多いのはスパムへのポリシーがよく分からないサーバ管理者であるが、この場合、「サーバ管理者」というよりも「ネット業者の一担当者=ネット業者の一社員」という場合がほとんどである。
「差出人メールアドレス」(「差出人アドレス」「Fromアドレス」)[独自]
一般の日本語メールソフトで「差出人」として表示されるメールアドレスのこと。メールヘッダでは「From:」を冒頭とするメールアドレスであることから「Fromメールアドレス」とも呼ぶ。メールヘッダのFromメールアドレスは詐称が容易に出来るので決して安易に信頼してはならない。
「テンプレート」[一般]
同じような文章を書く際に利用される定型化された文章のこと。Outlook
Expressでは「雛型(ひながた)」と呼ばれている。
当プラグインの「spam処置依頼支援」の特徴は、苦情先検索ツールと連携していることもさることながら、選択されたメールのヘッダと本文を含むメールを作成できる、言い換えれば「任意の文+spamのヘッダ+spamの本文」というテンプレートのメールを速やかに作成できることであると言える。
なお、Becky!などの高機能なメールソフトでは返信メールを書く際に、元のメールのタイトルや差出人、発信日などを返信メールの中に自動的に配置することができ、その際に雛形のその部分に書き入れておく文字はマクロシンボルと言われる。たとえばテンプレートの本文中に\aなどを記入しておけば、メール某にそのテンプレートで返信しようとすると、\aの所にはメール某の差出人アドレスが書き込まれる。
テンプレートについて詳しくはBecky!のヘルプを参照のこと。
「ドメイン名」(「ドメイン」)
IPアドレスの代わりに人間が理解しやすいように表現されているネット上の住所を表す文字列。すなわち「biglobe.ne.jp」「nifty.com」のように英数字と「.」(ピリオド)の組み合わせから成り立つ。「.」(ピリオド)で区切られた文字は後ろから順に「トップレベルドメイン」「第ニレベルドメイン」...と呼んだりする。トップレベルドメインには「jp」(日本)、「kr」、(韓国)、「cn」(中国)などのように国別のものの他、「com」「net」などがある。
住所のようなものだと述べたが、実際には人名に近いと言えるかもしれない。
→参考:参考資料「ドメインとIPアドレス」
「メールヘッダ」(「メールヘッダ」「ヘッダー」「ヘッダ」)[一般]
通常、メールを見ると本文と送信者・宛先・件名・日時のみが表示される。けれども実は別なところを見ると、そのメールが送られてきた経路などが記録されている部分があり、前述の送信者・宛先などはそれに基づいて表示される。
spam送信の場合、送信者アドレスは信用できないので、その追求にはメールヘッダを利用することになる。いわば受信者が犯人を追及するかなり唯一の手がかり。携帯電話のメールでは当初、メールヘッダを見ることは一部のキャリア以外不可能であったが、迷惑メール対策の為にヘッダの閲覧が可能になりつつある。
メールソフトBecky上でのメールヘッダ閲覧の方法は、Beckyのヘルプのキーワード「ヘッダ」の項目を参照して頂きたい。
「ネット業者」(「インターネット業者」)[独自]
インターネットに関係する業者には様々なものがある。代表的なものには以下のようなものがある。
ISP(インターネットサービスプロバイダー)・・・インターネット接続仲介業者。通常「プロバイダー」と呼ばれ、一般的なエンドユーザが企業や大学を通さず、インターネットに接続する為の役割を果たす。もっともシンプルな接続形態は、電話と同レベルのアナログ回線を利用してパソコンをプロバイダーのアクセスポイントと呼ばれるサーバに接続し、そこを通じてインターネットに繋げる方法である。
プロバイダーは接続業だけでなく、ホームページ領域提供サービスやメールアドレスサービス(メールアカウント提供サービス)なども兼ねることが一般的になっている。
ホスティング業者・・・ネット上に繋がれたサーバもしくはホームページスペースなどを貸し与える業者。ネット接続手段を既に持つユーザに対し、接続すること以上のサービスを提供する業者であり、サービス内容や規模には様々なものがある。一般にISPほどの設備投資、設備維持費を必要としないために、零細な業者もとても多いようである。
無料ホームページ、メールアドレスサービス・・・広告収入を中心に一般ユーザには無料でホームページやメールアドレス(メールアカウント)を貸与する業者。代表的なものとしてはマイクロソフトが母体のHotmail、WWWインデックスサービスとして有名なYahoo!が提供しているものなどがある。
いずれの場合もspam発信者に利用(悪用)されることがある。メール発信での利用がもっとも基本的な悪用のされ方だが、その場合でも必ずしもメールアカウント提供サービスのみが利用されるとは限らない。CGIなどのプログラムを設置できるホームページスペースサービスの場合に、そのスペースにメール発信プログラムを置き、そのプログラムでspam行為が行われることもあるのだ。あるいはISPからは接続サービスだけ受け、サーバは自分のところで用意し(いわゆる「自前サーバ」)、spam発信や宣伝サイトの設置は全て自分のサーバで行う場合もある。
ホームページスペースはspam宣伝サイトを置く場所として利用されるのは言うまでもないが、特にspammerが利用しがちなのが転送メールアドレスや転送URLシステムである。これらのサービスは無論、真っ当なユーザに使われれば大変便利で皆の役に立つものである。だがサービス提供者が少しでも油断するとspam発信者のような悪意ある者によって徹底的に利用されてしまう。
各種サービスがspam発信者に利用された際、そのことに対してどのようなアクションを取るかは様々であるが「spam行為者への厳しい対処」と「悪用されにくいような形に変えたサービス提供」が基本になっていると言えよう。
「NIC」(「ネットワークインフォメーションセンター」「ニック」「nic」)[一般]
IPアドレス、ドメイン名などを割り当てる、民間の非営利機関。
spamの苦情は基本的にサーバ管理者に処置依頼をすることが基本だが、受け取ったspamがどこのサーバが関係しているか、要は苦情先を調べる必要があるため、これらに関するデータベースを持つNICに間接的・直接的にお世話になる必要がある。
各国にはそれぞれNICがあり、日本の場合はJPNIC(ジェーピーニック)。
世界レベルでは3地域(アメリカ大陸中心ARIN、ヨーロッパ大陸中心RIPE、太平洋中心APNIC)に統括機関があり、各国NICはどこかの下にデータベースを提供している。歴史的経緯もあるようで、正確な記述ではないが詳細については割愛。
私の頁で紹介している検索頁では、このNICのデータベースを総合的に調べるホームページを用いている。本来、3地域別統合機関のデータベースを調べるのが確実、もっといえば各国別のNICを調べるのがもっとも確実だが、数字の羅列のIPアドレスからいきなりそれをするのは困難なので、統合的なサービス頁が作られて、それを利用するのが便利。
「IPアドレス」[一般]
ネット上の住所のようなもの。現在の標準規格IPv4では「123.234.245.12」など、0〜255範囲内の数字が4つ並び、各数字の間がピリオドで区切られている文字列(数字4つの組み合わせ)で表される。
→参考:参考資料「ドメインとIPアドレス」
「Whois」[一般]
IPアドレスもしくはドメインの管理者を登録してあるデータベースのこと。
「スパムメール」(「spamメール」「spam」「一方的迷惑広告メール」「迷惑メール」)[一般]
当プラグインでの「迷惑メール」「スパムメール」とはおおむね以下のようなものを指すこととする。
「受信者の承諾なしに一方的に送りつけられる宣伝・広告を目的とする電子メール。受信者のうちのごく一部からでも反応が出ることを期待し、大部分の受信者が受ける迷惑性を徹底的に無視しながら、不特定多数に対して大量・広範囲に配信される傾向を強く持つ。宣伝・広告とは言えないものの、酷似した手法で行われることの多い詐欺を目的とした大量配信メールもこの定義内容に含まれる。」
以下、「迷惑メール」「スパムメール」の用語問題について述べておく。
日本では携帯電話の電子メールが社会問題化した2001年以降、マスコミを中心に「スパムメール」を「迷惑メール」と呼ぶようになったが、2003年現在でも、この言葉の正確な定義が社会に十分浸透しているとは言い難い。特に一般のメールユーザは自分にとって迷惑なメールならば安易に「迷惑メール」と呼んでしまう傾向が続いており、ウイルスメール、嫌がらせメールは無論のこと、日本では嫌われがちなHTML形式のメール、マナー違反のメールまで「迷惑メール」と言ってしまう。
「迷惑メール」の語が広まる以前から、スパム問題に関心を持つ者の中にはそのメールの性質を正確に表現するため「一方的迷惑広告メール」などと呼ぶ者もいたが十分に浸透しなかった。社会問題化して法律論議が始まると、この問題の関係官庁である経済産業省は「電子メールによる一方的な商業広告の送りつけ問題」という言葉を使用したりしているが、「迷惑メール」に替わる用語を定着させようとした様子は見られない。(参考用語:「迷惑メール規制2法」)
そもそも舶来の「spam mail」の語自体が俗語から出発しており、一番有力な語源はホーメルフーズ社の固有商品名「SPAM」であるとされている。もともと何の意味も持たなかった「spam
mail」という語は日本語の「迷惑メール」よりも一層曖昧さを持っていたと言って良く、それに替わる正式名称としてUCE(Unsolicited Ccommercial E-mail
)、UBE(Unsolicited Bulk E-mail)などの言葉も作られた。だが米国ではすっかりspamの用語が定着し、法律論議の中で堂々と使用されることも珍しくないようだ。ホーメルフーズ社は自社の製品名が上記の意味で使われることは諦めてしまったようで、そのかわりに「一方的迷惑メール」の意味で使う場合には小文字「spam」で表現する旨を主張している。
当解説でのこの言葉の利用法について述べる。この問題をよく知らない人々に向けて「迷惑メール」という言葉を使った場合、その性質が深く論じられることのないまま、単に「迷惑なメール」の意味に受け取られる可能性があり、「広告」とか「宣伝」とか「大量配信」などの「spamの基本的性質」すら持たないメールに関して議論がされてしまう危険性がある。
その一方で「spam」「スパムメール」という言葉は定義が厳密ではないものの、「新語」であることから議論をする際には必ず定義問題に触れざるを得ないと思われる。曖昧な日本語の「迷惑メール」の語を使って不十分な認識のまま議論が行われるよりは、新語「スパム」を使うことでその定義問題を考える機会を生み出す方が弊害が少ないと判断し、当プラグインおよび当解説では「spam」「スパムメール」の言葉を使うようにしている。
「スパムメール規制2法」(「迷惑メール規制2法」)[独自][専門]
「特定電子メール適正化法」「特定商取引法」[一般]
2001年、日本では携帯電話の電子メール機能を利用したスパムメール問題が深刻化、社会問題化した。それをきっかけにその年度の後半に迷惑メールに対する規制の法整備の議論が活発化し、2002年4月に上記2法として結実した。2002年7月より施行。詳しくは手順解説「官庁への連絡・報告について」を参照のこと。
「スパムメール発信者」(「スパマー」「spammer」)[一般]
スパムを発信する者、あるいは発信した者達のこと。
スパムメール規制2法で、関係官庁から情報収集の役割等を与えられた特殊法人。違法なスパムに関する情報を収集し、それらに基づき、関係官庁が対処を行うとされている。詳しくは「官庁への連絡・報告について」を参照。
「送信者」「広告主」「事業主」 (spam報告先として関係してくるので 法律の中でここら辺に関して知っておく必要アリ)
「未承諾広告※」(「!広告!」)[一般]
スパムメール規制2法で、一方的に送りつけられるメールに関して、タイトル冒頭への付記が義務づけられた言葉。2002年2月〜7月までは「特定商取引法」の規則で「!広告!」であったが、その後の法整備で変更された。
「SpamCop」[専門]
外国のspam自動報告・フィルタリングシステム。詳しくは「SpamCopとは」を参照のこと。
「ブラックリスト参照方式」[独自]
当プラグインで用いている2つのフィルタリング方式のうちの一つ。ユーザ間でspamに関する情報(ブラックリスト)を共有化することで、spam判定を行う。具体的に共有化するのは当プラグインの場合、IPアドレスである(余談だが前身であるantispamプラグインではメールアドレスを共有化情報としていた)。
詳しくは当ヘルプの「スパムフィルタの概要」、松永香澄解説「spamフィルタの仕組み」(オンライン解説)などを参照のこと。
「ベイジアンフィルタ方式」[専門]
当プラグインで用いている2つのフィルタリング方式のうちの一つ。すなわちベイジアンフィルタを用いた方法。ベイジアン学習により、スパムの内容を分析し、その結果を新たなメールの判定に用いる。
詳しくは当ヘルプの「スパムフィルタの概要」などを参照のこと。
「自動学習」[独自]
当プラグインではブラックリスト参照方式によりspamと判定されたメールは「spam」と確定してベイジアンフィルタ方式の為の学習に利用するが、これを「自動学習」と呼ぶ。
詳しくは当ヘルプの「スパムフィルタの概要」などを参照のこと。
「spam登録」[独自]
最新の「ブラックリスト」でフィルタリング出来なかった場合に、ユーザがそのスパムメールの情報(具体的にはIPアドレス)をシステムに提供し、その情報をブラックリストに加えること。それによってその後、同じ(spamアドレス発信の)spamを検知できるようになる。
ただし当システムでは「登録=ブラックリストへの追加」ではなく、実際にブラックリストに加えるかはDNSBLに登録してあるかどうかから判断するので、ユーザが出来るのは正確に言えば「spam登録申請」だと言える。→参考:松永香澄解説「spamフィルタの仕組み」(オンライン解説)
具体的な手順は手順解説「spam登録・学習を行う」を参照のこと。
「spam登録・学習」[独自]
当ツールでは「ブラックリスト参照方式」におけるspam登録と「ベイジアンフィルタ方式」におけるspam学習を手動で同時に行うことが出来るようになっている。その両者を併せてこのように呼ぶ。
具体的な手順は手順解説「spam登録・学習を行う」を参照のこと。
「spam学習」[独自]
spam判定を行うためにspamメールからデータを抽出すること。当プラグインでは「ベイズ理論」に基づきspamデータベースを構築していくことを指す。
なお、spamデータベースは実際には「spamらしさ」と「真っ当なメールらしさ」に関する二つのデータベースから成っており、メールは両者を使って判定される。それぞれのデータベースを構築する学習を前者は「spam学習」後者を「clean学習」と呼んでおり、当プラグインでは「spam学習」という言葉をそのような狭い意味で使う場合もある。
ベイジアンフィルタ方式の為の行為 | spam学習 | spam学習 | 「spamらしさ」のデータベース構築 |
clean学習 | 「真っ当なメールらしさ」のデータベース構築 | ||
ブラックリスト参照方式の為の行為 | spam登録 | ユーザー間共有データベースの構築 |
詳しくは当ヘルプの「スパムフィルタの概要」などを参照のこと。
「clean学習」[独自]
spamデータベースは実際には「spamらしさ」と「真っ当なメールらしさ」に関する二つのデータベースから成っている。メールのspam判定は両者を使って為されるが、「真っ当なメールらしさ」のデータベースを構築するためのデータ構築を「clean学習」とこのプラグインでは呼んでいる。
詳しくは当ヘルプの「スパムフィルタの概要」などを参照のこと。
「学習データベース」[独自]
当プラグインのspam学習、clean学習で学習されたデータベースのこと。
「フィルタリングマネージャ」[独自][専門]
フィルタリング機能を使うためのBecky!InternetMail標準のツール。Windows標準のメーラーOutlookExpressでの「メッセージルール」に該当するが、その機能よりも遙かに柔軟で使い易く、そこもBecky!InternetMailの魅力の大きな一つになっている。
2005年2月のVer2.20より、重要な改善がされ、spamフィルタリングツールとしても利用しやすくなった。
参考:「フィルタリングマネージャのルール別『タイミング』設定の活用について」
「spamレポート」[独自]
当プラグインで全メール受信数とフィルタリングを行ったものの統計を自動で取っている機能。画面解説「プラグインの設定 Reportタブ」参照。
「DNSBL」[専門][独自]
メールサーバにおいて、DNS(ドメインネームサーバ)レベルでのフィルタリングを行うブラックリストシステムのこと。DNS(ドメインネームサーバ)とはIPアドレスとドメイン名の対応付けを行うシステムの総称であるが、その対応付けの際にブラックリストを参照し、問題のあるサーバからの要求を受け付けないようにする、というものがDNSBLの根本的発想である。
DNSBLの考えが広まったのは、ORBS(Open Relay Behaviour-modification System)というブラックリストシステムがアラン・ホジソン(Alan・Hodgson)氏によりボランティアで設営され、多くのサーバ管理者に任意で利用されるようになったのがきっかけのようだ。ORBSはオープンリレーと呼ばれるspam発信を助長するセキュリティの甘いサーバをブラックリスト化したもので、spamへの強い問題意識を背景として作られた。
spam問題は当初、エンドユーザよりもサーバ管理者にとって、より一層深刻なものであった。すなわち、勤勉なサーバ管理者にとっては自分の管理するサーバへのspamメール被害が頭痛の種であり、怠慢なサーバ管理者にとっては自分の気がつかぬうちにspam行為の幇助(オープンリレー)をしてしまうトラブルを引き起こすことになった。ORBSは「良識有るサーバ管理者」にはそのspam被害を少しは減らすツールとなり、悪意のない、しかしspam行為を看過している怠慢なサーバ管理者にその自覚を促すシステムとなったのである。
だが問題性のあるサーバのブラックリスト化は、ブラックリストに載せられた企業からの法的な攻撃を発生させることになった。各種トラブルを経てORBSの名を持つシステムは消滅したが、そのシステムは名前を変えて複数の子孫へと受け継がれることとなる。
参考情報 HOTWIRED 2001/07/02より
「存続の危機を生き延びる迷惑メール防止情報サイト」
http://www.hotwired.co.jp/news/news/20010704202.html
2003年現在、上記記事の時よりも、より多くの、そして多様なDNSBLシステムが併存し、世界中のサーバ管理者により利用されている。当プラグインではこのブラックリストを二次的に利用している。詳細は松永香澄解説「spamフィルタの仕組み」(オンライン解説)を参照のこと。
「冤罪」[独自]
スパムメールでないメールがフィルタリングなどでスパムと判定されてしまうこと。ただしスパムメールであるかの判断は必ずしも万人で一致しないので、冤罪かどうかも微妙に意見が分かれる場合もある。
「囮アンテナ」[独自]
スパムしか届かないメールアドレスから当プラグインで利用するスパム情報を集める手法。松永香澄「囮アンテナについて」オンライン解説を参照のこと。
「特定個人アンテナ」[独自]
スパムの受信者の多い人々から迅速に情報を得る方式。β版運用時手っ取り早くブラックリストを作成するために導入された。「BkASPilのフィルタリングシステムに関する検討課題」オンライン解説参照のこと。
囮アンテナの導入により、廃止予定。
「特定アンテナ」[独自]
当プラグインでの特殊用語。当プラグインは原則的に、多数のユーザに自分の受け取ったspamを登録をして貰うことを前提に作られているが、特定アンテナはそれ以外の手法でスパムを集める手段を指す。「特定個人アンテナ」「囮アンテナ」などがある。
「(spam)ブラックリスト」(「IPBL」「BL」「spamリスト」)[専門]
ブラックリストというと一般には「注意人物の一覧」などを指す。spamの場合も同じだが、その際に使う情報は「差出人の名前」「差出人のメールアドレス」「メールのタイトル」「スパム内容の要約」「発信されたサーバ(IPアドレス)」など様々なものが考えられる。ブラックリストに載っていれば「実際にどうかはともかく」スパムと判定し、ブラックリストに載っていなければスパムと判定しない。つまりブラックリストは情報共有型フィルタリングシステムの根幹である。
当システムの前身である「antispamプラグイン」ではブラックリストの情報として「差出人のメールアドレス」を使用していた。BkASPilでは「発信されたサーバ(IPアドレス)」を使っている。「IPアドレスXXX.XXX.XXX.XXXがブラックリストに入ってしまった」というのは「XXX.XXX.XXX.XXX」から発信されるメールがスパムと判定されてしまうことを示す。
「振り分け」「フィルタリング」[一般]
受信したメールを、その中身の性質から自動で特定のフォルダに選り分けること。あるいはフォルダに入れないで、完全に削除してしまう場合も言う。当プラグイン(BkASPil)の前身である「antispamプラグイン」では完全に削除する選択設定も導入していたが、spamでないメールをユーザが失うことを恐れ、当プラグインではその設定を無くしている。
フィルタリングでは「どの段階でフィルタリングするのか」「何を基準にフィルタリングするのか」という二つの大きなポイントがある。「どの段階で」という点に関しては「サーバでの保存の段階」「ユーザのメールソフトでの段階(これを「クライアントのレベルで」などともいう)」の二つが主なものであり、「何を基準に」という点では様々な手法が考えられている。当プラグインが用いている「ユーザ間でのspam情報の共有」「ベイジアンフィルタ方式」などもそれぞれ一手法である。spamフィルタリングでは完璧な手法というのが見つかっておらず、それぞれの手法で長所、欠点がある。可能ならば組み合わせて使うことが効果を発揮する。
なお、自分がもともと受け取りたいメールを「分類する」という意味のフィルタリングは特に問題ないが、spamフィルタリングのように本来不必要なメールを取り除く為のフィルタリングというのは極めて受動的な対応であり、根本的な解決法ではないという意見もある。
「ホワイトリスト」[専門]
ブラックリストとの対比として出来た言葉。ブラックリストが「注意すべき人物の一覧」なのに対し、同じ言い方をするならば、ホワイトリストは「絶対に信用できる人物の一覧」「信用する人物の一覧」である。
ブラックリストは警察が発表する犯罪者リストのようなものだが、一方で、あなたの頭の中にある家族、友人、知り合いなどの中で「絶対に信頼できる人物」「信頼する人物」の一覧がホワイトリストといえる。例えば今、警察が配布していた「犯罪者リスト」を見ていたらあなたのホワイトリストの中の一人が入っていたことに気がついたとする。その後すぐ、彼があなたの家に尋ねてきた。あなたは彼を家に招き入れるだろうか?もし招き入れるなら、その人物はあなたにとって確かにホワイトリストに入っている人物と言える。
メールでのフィルタリングの場合も全く同様だが、フィルタリングの場合にはブラックリストすなわち「怪しげ人物リスト」があるという前提になっており、そのブラックリストに入っていようがいまいが、信頼する人々のことを指す。「人々」と書いたが「何を」フィルタリングの条件にするかによって異なり、「差出人メールアドレス」「IPアドレス」「タイトル」などいろいろ考えられる。
当システムは現在「差出人メールアドレス」「IPアドレス」でホワイトリストを作ることができ、その中に入っている差出人からのメールあるいはIPアドレスからのメールは、ブラックリストに入っていてもフィルタリングしない。
当プラグインでの具体的な手順は手順解説「ホワイトリスト登録を行う」を参照のこと。
「ベイジアンフィルタ(Bayesian Filtering)」
ベイズ理論(ベイズ統計学)という手法を使い、過去のメールの判定・学習結果から、新たに届いたメールがspamであるかどうか判定する機能を持ったフィルタリング手法。
具体的には、過去のメール(学習するメール)の本文もしくはメールヘッダから、そこに現れる各単語の出現頻度を単語同士の関連性も含めて数値化し、それらに基づき新しいメール(判定する対象とするメール)に含まれる単語とその組み合わせから、そのメールが過去に「spam」とされたメール群にどれほど近いかを確率的に決定するものである。ベイズ理論の詳細は「スパムフィルタの概要」で紹介しているリンク先などを参照されたい。
「abuse窓口」[専門]
スパム発信など、ネットワークの悪用に関する情報を受け付ける為に、ネットワーク管理者が設けている苦情受付窓口(大概はメールアドレス)。設定するようにRFCで推奨されていると聞く。
インターネット上での悪用行為には実に様々なものがものがあり、スパム問題はごく一部にしか過ぎない。しかしabuse窓口への苦情ではspamに関するものが多数になっているらしく、海外のネット業者は自社サイトやWhois登録などで「spamや○○に関する苦情はabuse@xxx.comへ」などと明記していることが多い。
NetworkAbuseClearingHouse略してabuse.netという大変有用なサイトがあり、ドメイン名からそのドメインに関するネット業者の苦情窓口を探すことが出来る。なお、差出人のアドレスは信用できないので、そのアドレスのドメイン名からabuse窓口を見つけ、そこに依頼をすることなどは原則的として行ってはいけない。
「spam処置依頼」(「対処依頼」「処置依頼」「spam報告」「spam苦情」)[独自]
spamを受信したユーザが、スパム発信者が発信に利用(悪用)したネット業者や、spamで宣伝されたサイトに関係するネット業者に対し、スパム発信行為もしくはスパム発信者に何らかの処罰をするよう、依頼・要求すること。さらにはスパムメール問題を扱う公的機関に対して情報提供を行うことも含む。
通常、ネット業者は「悪用された」だけなので、「苦情」という若干強い言葉は控え、「処置依頼」「報告」などと言ったりする。
一番理想的なのは「報告」で済むことである。すなわち「報告」しただけで、そのspamとスパム発信者への処分に東奔西走してくれるネット業者にはまさしく「報告」だけで良いからだ。
だがネット業者の中には「はい、そうですか、その問題は当社とは無関係です。当社の顧客とあなた様の問題です。御報告有り難うございました」などと言う、本当に「報告」で終わらせようとするネット業者が、昔はしばしば、現在でも希に存在し、そういう場合にははっきりと「処置依頼」だと分かる文面を送らねばならない。
そして何回も処置依頼をしても同じネット業者からのスパム発信が繰り返されたり、根本的な解決を試みるような姿勢が見えないと、当然のことながらspam受信被害者の口調は「苦情」になっていく。
ただしどんなに強い口調になっても、あまりにヒステリックになったり、罵詈雑言を浴びせたり、ネット業者とスパム発信者が同罪であるような書き方は慎んだ方が良い。担当者も人間であり、感情的な苦情メールは決してネット業者に前向きに取り組む気力を起こさせず、むしろ処置依頼者達への反感を強めるだけだからだ。
「メールヘッダ解析」[独自]
メールヘッダからspam対応で必要な各種情報を読みとること。代表的なものとして、メールの発信元あるいは中継元サーバのIPアドレスを見つけることなどがある。
メールヘッダでは捏造、偽造できる部分も多いので注意する必要がある。
「ユーザ登録」[独自]
当プラグインを使用する際に開発チームにユーザとしての登録を行うこと。BkASPilではspam処置依頼支援機能を使うために必要。詳しくは「ユーザ登録について」を参照のこと。
「上策、中策、下策の苦情先」[独自]
メールヘッダ解析ツール制作者の一人Tが勝手に呼ぶようになったもので「分かりにくい」と不評もある。処置依頼窓口を探す蔡に、いろいろなメールアドレスが出てくるが、適切さに応じて呼んだ言葉である。厳密に解説すると以下のようになる。
「antispamプラグイン」[独自]
当プラグインBkASPilの前身。2002年12月にBNR32氏が発案、製作開始した。ユーザ間でspamの情報(具体的には発信者のメールアドレス)を共有化することを特徴とした。2003年8月本プラグインBkASPilの正式リリースにより停止。詳しくは「当プラグインの歴史」にて。
「HT(Hyper-Threading)」[一般]
(2003年現在)IntelのPentium4の3.06GHz以上のCPUで装備された技術。一つのプロセッサで2つの処理を平行に行うことが出来るシステム技術。言い換えれば一つの物理的なプロセッサを2つのプロセッサに見せかける方法(らしい)。この機能を備えたCPUのパソコンで当プラグインを使うときにはプラグイン設定「高度な設定」タブで「安定化モードにする」をチェックすることが必要。
「メールボックス」[一般]
電子メールを保存しておく所。受信者の立場から見たとき、電子メールは
(A)発信者の手元→(B)受信者のプロバイダーのコンピュータ(一般に「サーバ」という)→(C)受信者自身のコンピュータ
の流れで届く。一般的にBの場所にはユーザ毎のメールボックス領域が確保されており、ユーザは定期的にこの領域にメールが届いているかどうかを確認しに行くという方式になっている(実際に確認してくれるのはメールソフトがやってくれるわけだが...)。メールが届いている場合、そのメールを受信者自身のコンピュータであるCのメールソフトに持って来て閲覧するのが標準的な電子メール受信方法である(2003年現在)。
このように見ると、受信者が見に行くまで保存されているプロバイダー(B)のメールデータ領域も、その後メールを取り込んだ自分のパソコン(C)のメールデータ領域も「メールボックス」であると言うことができ、実際に両者とも「メールボックス」と呼ぶことが多い。使う際にはどちらであるか意識しておくことが大事。
なおCの場合でも、同じメールソフトで複数のメールアカウント(メールアドレス)を管理していると更に少しややこしくなる。複数のアカウントごとにメールデータの保存領域が分かれている場合、それぞれを個別のメールボックスと見なすことがあるが、その一方でそれらのメールボックスが集まった、某氏のメールデータが入っている全て一体のものを一つのメールボックスと考える場合があるからだ。
Becky!一般の場合、それをインストールするとユーザ某のメールデータを入れるフォルダ(ユーザが任意に名前をつける)が確保されるわけだが、普通はついついこの領域をユーザ別のメールボックスと言ってしまう。ところが、その下に作ったアカウント別のフォルダもBecky!ではやはりメールボックスという用語を使うようで、というのもそれらのフォルダには「.mb」という拡張子がついており、これは「MailBox」の略だと考えられるからだ。
いずれにせよ、「メールボックス」の言葉が使われたときに、どこのことを指しているのか意識しておくのが大切。
「メールアカウント」[一般]
メール送受信に関してユーザに与えられた権利(?)の一つ分(?)のこと。「メールアカウントを貰った」「複数のメールアカウントを持っている」などというように使う。
「メールアドレス」と呼び替える方が理解しやすく、またそれとほとんど同義で使うことも多いが「メールアカウント」と呼ぶと「メールアドレスを使う為の権利」のような感じがある。その結果、「君のメールアドレスを教えて」とは言っても「君のメールアカウントを教えて」とは(多分)言わない。
「プラグイン」[一般]
「プラグイン(Plug-In)」とは母体のソフト(当プラグインではBecky!InternetMail)に新たな機能を追加したり、動作を変更したりすることができるようにするための追加ソフトのこと。ソフトというと独立したイメージがあるが、プラグインの場合には母体のソフトの存在があって初めて機能するものであることから「追加モジュール」「追加プログラム」「追加部品」などと呼ぶのが適当かもしれない。
「マウスジェスチャー」[一般]
通常のマウスの機能に加えて、クリック(一回マウスのボタンを押す)やドラッグ(選択してボタンを抑えながら移動する)に特別な意味(命令)を与えるようにすること。参考資料「マウスジェスチャーについて」を参照のこと。
「β版」(べーたばん)[一般]
ソフトウェア、アプリケーションなどが正式公開前に配布し、テストユーザに利用して貰い、その中で不具合(バグ)などを調整する版のこと。さらに実験段階の版として「α版(あるふぁばん)」というのが作られることもある。
当プラグインでは2003年5月17日からβ版が開始され、正式版は8月より配布された。
「完全削除」[独自]
ソフトウェアをアンインストール(パソコンからの除去)をする際に、出来る限りそのソフトに関係する全てのデータを削除すること。
当プラグインでは「完全削除と原因究明」を参照のこと。